← Back to Columns Gamification

ゲーミフィケーションが、飲食店を
エンターテインメントに変える。

Syncless Inc. Technology Column

「注文する」という行為は、今まで目的を達成するための手段でしかありませんでした。しかしシンクレスはここに問いを立てています。注文そのものを体験にできないか、と。

「注文する」という行為は、これまで単なる手続きでした。料理を頼むための、目的達成のための操作です。

しかしシンクレスは、ここに1つの未来を見出しています。注文そのものを、価値ある体験にできないだろうか、と。

外食は本来、単なる食事ではなく「体験」です。もし注文の過程そのものが楽しいものであれば、それは単なる注文システムではなく、店舗体験の一部になります。シンクレスは、モバイルオーダーを「効率化ツール」ではなく、体験設計のプラットフォームとして再定義しています。

ゲーミフィケーションとは何か

ゲーミフィケーションとは、ゲームの設計原理——達成感、偶然性、成長、報酬、コレクションといった要素を、ゲームではないサービスに取り入れる手法です。

航空会社のマイレージプログラムや、フィットネスアプリのバッジ機能なども、本質的にはこの考え方です。重要なのは「ゲームを作ること」ではありません。人の行動を自然に動かす仕組みを設計することです。

飲食店においてこれは、追加注文・再来店・口コミといった行動を、強制ではなく自然な体験として生み出す設計を意味します。

シンクレスのゲーミフィケーション要素

ゲーミフィケーションは、必ずしも大きなゲーム機能を意味するわけではありません。重要なのは、注文という行為の中に小さな楽しさや達成感を設計することです。

例えば、カートに商品を追加した際のアニメーション。一般的なECサイトでは、カート追加は単なる通知表示です。しかしシンクレスでは、カートアイコンがスライムのように跳ねるアニメーションを採用しています。派手に目立つ演出ではありませんが、操作の中に小さな楽しさを生み出すことで、「もう少し触ってみたい」という自然な心理を引き出します。

また、タブレットオーダー端末では、ページをめくる操作を再現した高品質な3Dアニメーションを採用しています。紙のメニューをめくる体験をデジタルで再現することで、注文操作そのものを心地よい体験にしています。

より直接的なゲーム要素としては、チンチロのような運試しの仕組みも導入できます。モバイルオーダー画面でサイコロを振り、出た目によって割引や特典が決まる仕組みです。「次に何が出るかわからない」という偶然性は、人の行動を強く動かすことが知られており、心理学者 B. F. Skinner が提唱した「可変報酬」の考え方にも通じています。

チンチロ — サイコロを使ったゲーミフィケーション演出

さらに、注文を重ねることで少しずつ進行していくステップアップ型の演出も可能です。注文するたびに壺のような器に水が溜まっていく演出や、ゲージが徐々に貯まり一定ラインで特典が解放されるキャンペーンなどです。人は目標が見えると、つい達成したくなるものです。こうした心理を利用することで、追加注文のきっかけを自然に作ることができます。

シンクレスが目指しているのは、派手なゲームを作ることではありません。注文という日常の行為の中に、ほんの少しの楽しさや達成感を設計すること——それが、シンクレスのゲーミフィケーションの考え方です。

モバイルオーダーの矛盾

ここで、モバイルオーダー業界の一つの矛盾があります。現在多くのモバイルオーダーシステムは、CRM・顧客分析・マーケティングといった目的のために設計されています。

その結果、会員登録・個人情報入力・ポイント管理・アプリ誘導などが増え、注文が面倒になる方向にシステムが設計されていることが少なくありません。しかし冷静に考えれば、これは本末転倒です。飲食店にとって最も重要なのは、注文してもらうことだからです。

シンクレスは、この発想を逆転させています。マーケティングのために注文を複雑にするのではなく、いかに注文をスムーズにするか——そして注文という行為そのものに価値を持たせるか——を設計の中心に置いています。

なぜ今「体験」が重要なのか

この考え方は、実は経済学の流れとも一致しています。1999年、経済学者の Joseph Pine II と James H. Gilmore は、The Experience Economy という著書の中で、経済はモノ → サービス → 体験へと進化していると主張しました。

つまり、人は単に商品を買うのではなく、その体験に価値を感じてお金を払うようになるという考え方です。コーヒー豆の原価は数十円ですが、カフェという空間と体験が加わることで、一杯のコーヒーは数百円の価値になります。

飲食店も同じです。料理そのものだけではなく、店の雰囲気・接客・友人との時間・その店でしか味わえない体験——こうした要素が、店の価値を作ります。

注文もまた、体験の一部になる

これまで注文は、単なる手続きでした。しかしモバイルオーダーの普及によって、注文はデジタル体験になりました。

もしこの体験がもう少し楽しく、スムーズでちょっとした驚きがあったとしたら、ついもう一品頼みたくなるかもしれません。飲食店が提供する体験は、料理や空間だけではありません。注文の瞬間から、体験は始まっています。

シンクレスは、その体験をデジタルの領域まで拡張し、この新しい注文体験を設計するためのプラットフォームとなるように進化していきます。